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『個性派の名脇役がつかんだ誇らしい栄光』


【2008年 川崎記念】

 イスパーン賞でエルコンドルパサーを退けるなど、現役時代も日本での知名度が高かったクロコルージュ。ただし、種牡馬としては目立った産駒を送り出せず、アイルランドへ再輸出された。堂々の代表格となるフィールドルージュが4戦目にして初勝利(京都のダート1800m)を飾ったのは、売却された直後のことだった。
「どこにダイヤモンドがころがっているか、わからないものだよ。セリ(北海道市場・サマーセレクション1歳、購買価格は750万円)では、ひと声で落札。曾祖母がメジロラモーヌだといっても、当時、母(メジロレーマー、不出走)の仔でJRAを勝利した馬は皆無だった。強いインパクトなど残っていない。この世代の期待馬といったら、フィールドジュエル(3勝、地方1勝、)だった。祖母がダイナシュガーと、筋が通った血統だからね。セレクトセールの落札額も、ルージュが3頭も買えた」
 と、西園正都調教師は、出会った当時を振り返る。
「でも、デビュー前の函館滞在中に、洗い場の脇にある鉄パイプを跨ぎ、慌てたことがあった。あんなところに脚は届かないはずなのに。すごい格好で暴れたことにもびっくりしたけど、なんて体が柔軟なんだろうって感心したなぁ。当時は体質が弱かったし、フットワークが大きいから、芝から使い出したんだ」
 函館のダート1700mも連勝。1000万下を4着、2着、2着したうえ、4歳2月に京都(ダート1800m)で3勝目を挙げた。続く韓国馬事会杯を突破してオープン入り。アンタレスS(4着)では、早くも重賞制覇のメドが立つ。大沼S(1着)、マリーンS(2着)、武蔵野S(3着)と堅実に歩み、JCダートも3着に食い下がった。
「気性的に難しいタイプ。自ら止めちゃうことがある。ファイナルS(4着)、平安S(6着)、フェブラリーS(5着)とも、ゴール板を過ぎてエンジンがかかったくらい。そんななか、ノリちゃん(横山典弘騎手)とは波長が合うよ。依頼する前から気になる馬だったらしい。常識に当てはめず、うまく馬に気持ちを乗せてくれた」
 大沼S、マリーンSと連勝を飾り、ますます輝きを増していく。武蔵野S(4着)を使って調子を上げ、JCダートは2着に惜敗。名古屋グランプリを快勝して、ついに初のタイトル奪取がかなった。
「レースでの豪快な走りに反して、調教では懸命さを欠き、相変わらず動かない。ただし、キャリアを重ねるたびに落ち着きを増し、反抗的な態度が目立たなくなってきた。身体的なフレッシュさを保っていたし、相手関係を見ても、川崎記念は負けられないと思っていたね」
 単勝1・8倍の支持を受け、それにふさわしい堂々たる立ち回り。3番手から早めに進出し、2着のフリオーソに2馬身半の差を付ける完勝だった。ついにG1の勲章を手にする。
 ところが、フェブラリーSで競走中止のアクシデントに見舞われる。ゲートを出た際に躓き、左前をぶつけて落鉄。それが原因となり、歩様が乱れたものと推測された。懸命の立て直しを図り、JBCクラシック(5着)、浦和記念(4着)と健闘したものの、屈腱炎を発症。7、8歳シーズンは一度も出走できなかった。
 アンタレスSはスタート直後に落馬してしまう。東海Sを右肩跛行で出走取り消し。帝王賞(5着)、JBCクラシック(6着)を経て、引退が決まった。
 砂の王者たちが継承してきた重みあるタイトルが川崎記念。その歴史にあって、個性的な名脇役が主人公となった2008年の一戦は、いつまでも新鮮な感動を伴って蘇ってくる。
 


第57回 川崎記念(JpnI)
1着フィールドルージュ 牡6 57 横山典弘 西園正都
2着フリオーソ     牡4 56 今野忠成 川島正行
3着シャドウゲイト   牡6 57 ルメール 加藤征弘

 単勝 180円
 枠連 150円
 馬連 140円
 枠単 240円
 馬単 280円

3連複  280円
3連単  800円




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