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『強敵を翻弄する自由自在な「神足」』


【2018年 東海ステークス】

 阪神のダート1800mで迎えたデビュー戦は、外にもたれる若さを見せて6着に終わったものの、続く同条件をあっさり勝ち上がったテイエムジンソク。
 その母マイディスカバリーはフォーティナイナーの産駒であり、ダート1000mで3勝を挙げた。同馬の叔父母でJRAを勝ち上がったのは1頭のみしかいないが、アメリカの重賞を6勝した4代母マイジュリエットに連なるファミリーである。2007年以降、総合サイアーランキングのベスト10内を堅持しているクロフネが配されて誕生した。
「血統的にも、もともとダートでの活躍を期待していたとはいえ、1歳で依頼を受けて以来、ずっと肉が付かないのが悩み。成長は遅めでした。テイエム牧場でもゆっくり乗り込まれ、3歳2月になって入厩。動きは目立ちませんし、慎重に使い出しましたよ」
 と、管理した木原一良調教師は若駒時代を振り返る。
 京都の500万条件でも、11着より2着へと一気に着順を上げた。半年間、リフレッシュされ、11月の京都(ダート1800m)をいきなり勝利。昇級後も5着、3着と順調に前進する。大津特別は3馬身差の楽勝だった。
「精神面も幼くて。常歩ができないほど、激しくイレ込んでしまう。通常のメニューを消化するのにも、地下馬道で暴れたり、ひと苦労。デビュー前の追い切りから竹之下くん(智昭騎手)に跨ってもらい、コミュニケーションを図ってきました。そんな状況でも、実戦で味があるんです。想像以上の勝負根性に驚かされましたね」
 放牧先でも食べたものが実にならず、桃山S(8着)や上賀茂S(10着)の当時は体を戻しながらの調整。それでも、好位追走の安定したレース運びから、東大路Sをきっちりと差し切った。花のみちS(2着)に続き、KBC杯(3着)も堅実に上位に食い込む。
「マッチョなタイプが揃う上級クラスとなれば、パドックでは見劣ります。線の細さが目立ち、これで大丈夫かなと、その都度、心配していました。でも、少しずつたくましくなり、小倉へ輸送してもプラス体重。脚抜きがいい馬場を得意としていても、パワー比べにだって対応できるようになってきたんです」
 観月橋S(4着)、堺S(3着)、初夢S(2着)、北山S(2着)、伊丹S(3着)と足踏みが続いたが、いずれも厳しい展開。5歳時の東大路Sで4馬身差の快勝を収め、いよいよ本格化を示す。「あの一戦からバトンを受け継いだ古川吉洋騎手も、非凡な能力を感じ取り、調教から丁寧に接してくれました。見違えるほど筋肉が張り出し、着々と体質強化。楽々と動けるようになり、気持ちにも余裕が出てきましたよ」
 大沼Sを4馬身差、マリーンSも5馬身差のワンサイド勝ち。レコード決着となったエルムSは2着に惜敗。早めに先頭へ踊り出て、みやこSで初のタイトルを奪取する。
「ゴールドドリームの強襲に屈しましたが、チャンピオンズC(クビ差の2着)での走りは生涯忘れられません。流れに左右されず、ますます立ち回りが上手に。ほんと頭が下がります。高いレベルで状態が安定し、負けられないと見ていた東海Sでしたが、重賞で圧倒的な人気(単勝1・3倍)に推され、胃がきりきり痛みました。それなのに、すっかり馬が自信を付けていて。悠然とハナに立ち、平均ペースに持ち込むと、マークされても身上の粘りを発揮できた。強い内容でしたし、あんな爽快な気分を味わうのは初めてでした」
 ハイペースとなったフェブラリーSは12着。これでリズムが狂い、平安S(6着)、帝王賞(6着)と期待を裏切る。日本テレビ盃(4着)をステップにチャンピオンズC(14着)に臨んだものの、左前に屈腱炎を発症。テイエム牧場日高支場でスタリオン入りした。
 G1には手が届かなかったとはいえ、自由自在な「神足」で強敵を翻弄したテイエムジンソク。全30戦(9勝)を戦い抜き、連対率50%の好成績を誇るだけに、種牡馬としても魅力は十分である。懸命な魂を継いだ優駿の登場が待ち遠しい。
 


第35回 東海テレビ杯東海ステークスGⅡ
1着テイエムジンソク  牡6 56 古川吉洋  木原一良
2着コスモカナディアン 牡5 56 丹内祐次  金成貴史
3着モルトベーネ    牡6 56 秋山真一郎 松永 昌博

 単勝  130円
 枠連 2,970円
 馬連 4,260円
 馬単 5,530円

3連複  14,690円
3連単  49,170円




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