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『競馬の常識を覆す衝撃的なクルーズ』


【2001年 ジャパンカップダート】

 サラブレッド・ビジネスにおいて、究極の目的は種牡馬としての成功。能力を測るのにあたり、求められる資質が大いに異なるマイルと1マイル半という世界基準があるのだが、両方ともで卓越した走りを示したとすれば、スピードとスタミナを兼ね備えた理想型として価値は飛躍的に上がることになる。
 そんな壮大な夢を掲げ、クラシックの栄光とともに、3歳マイル王の座にも執着したのが松田国英調教師である。NHKマイルCからダービーへと進む独自の路線を確立。試みの第一号となったのはクロフネだった。
 ファシグディプトンコールダー・マーチセールにて、43万ドルで落札されたフレンチデピュティの産駒。父は同馬の活躍も後押しとなって輸入され、エイシンデピュティ(宝塚記念)、アドマイヤジュピタ(天皇賞・春)、レジネッタ(桜花賞)、サウンドトゥルー(チャンピオンズC、東京大賞典、JBCクラシック)などのトップホースを送り出した。母は米5勝のブルーアヴェニュー(その父クラシックゴーゴー)。同馬の全妹にベラベルッチ(G2・アスタリアSなど米5勝)がいて、やはり後を追ってノーザンファームの繁殖馬となった。
 輸入検疫時に馬体細化してしまったクロフネだったが、NF早来での調教が軌道に乗ると、他を圧倒する豪快な動きを見せるようになる。栗東への移動後も短期間で出走態勢が整った。
 10月に迎えた京都(芝1600m)のデビュー戦こそクビ差の2着に敗れたが、続く芝2000mを2馬身差の快勝。エリカ賞も好位から抜け出し、楽々と3馬身半の差を付けた。ラジオNIKKEI杯2歳Sは3着に終わったものの、先を見据えた仕上げ。しかも、先着を許した2頭はアグネスタキオン(皐月賞)、ジャングルポケット(ダービー、ジャパンC)である。
 左前の骨瘤に配慮して3か月間の間隔を開け、毎日杯より再スタート。後続を5馬身も突き放すワンマンショーを演じる。単勝1・2倍の断然人気を背負いNHKマイルCに臨むこととなった。後方に置かれながら、ラスト3ハロンで1秒0も先にいた2着馬をあっさり撃破する。
 いよいよ外国産にも門戸が開かれたダービーへ。ただし、結果は5着に終わる。一気の距離延長に加え、中2週のローテーション。怪物級のポテンシャルを持ってしても、厳しい条件を跳ね除けることはできなかった。
 2000mがベストと見て、秋シーズンは神戸新聞杯(3着)をステップに天皇賞・秋へと向う青写真。ところが、当時はマル外の出走枠が2頭に限定されていたため、チャレンジはかなわなかった。
 急遽、前日の武蔵野Sに方向転換。ここで異次元のパフォーマンスを披露した。持ったまま、4コーナーで先頭に立つと、2着と9馬身も差を広げる。ターフ並みのレコードタイムを叩き出したのだ。
「こんな時計が出るなんて。芝でも強いけれど、ダートはほんと上手。負けることなど想像できないほどだった」
 と、武豊騎手も驚きの表情を浮かべた。
 単勝1・7倍の支持を受け、JCダートへ。その強さはファンの期待をはるかに超えるものだった。向正面から楽な手応えで進出し、直線は離す一方の独走となる。2着とは7馬身差だった。
「ペースが速いとは感じていたが、この馬には遅いくらい。状態が良かったし、道中でもレコードを上回る(従来の記録を1秒3も更新)だろうとの確信があったね。能力は規格外。とにかくすごい馬だよ」(武豊騎手)
 ところが、ダートで史上最強との評されるようになった矢先、右前脚に浅屈腱炎を発症。衝撃が冷めやらないうちに、早々と種牡馬入りすることとなった。
 2011年に総合サイアーランキングで2位に上昇して以降も、ベスト10以内を堅持。スピード豊かな産駒が多く、芝・ダートを問わずコンスタントに勝ち上がるうえ、フサイチリシャール(朝日杯FS)、スリープレスナイト(スプリンターズS)、カレンチャン(スプリンターズS、高松宮記念)、ホエールキャプチャ(ヴィクトリアマイル)、クラリティスカイ(NHKマイルC)、アエロリット(NHKマイルC)らトップクラスを送り出している。ブルードメアサイアーとしても信頼度は抜群。今後も息長く存在感を示すことだろう。

 


第2回 ジャパンカップダートGⅠ
1着クロフネ    牡3 55 武 豊  松田国英
2着ウイングアロー 牡6 57 横山典弘 南井克巳
3着ミラクルオペラ 牡4 57 幸英明  領家政蔵

 単勝 170円
 枠連 520円
 馬連 540円




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