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『懸命な情熱を燃やして勝ち取ったチャンピオンの座』


【2016年 マイルチャンピオンシップ】

 ノーザンファーム空港で丁寧に基礎固めされ、2歳7月に栗東へ移動したミッキーアイル。9月の阪神、芝1600mで迎えた新馬戦は抜け出してソラを使い、2着に終わる。ただし、ソエに配慮したソフトな仕上げだった。
 管理した音無秀孝調教師は、出会った当初より類まれな才能に信頼を寄せていたという。
「父ディープインパクトらしいバネも伝わってきたけど、母似の胴が詰まったスタイル。やはり短めの距離向きなのかと想像していたね。でも、気性は母ほど激しくないし、乗りやすいのが心強い。調整も楽だったよ」
 母スターアイル(その父ロックオブジブラルタル)も音無厩舎で走り、ゲート難に泣きながらもダート短距離を2勝。祖母のアイルドフランス(米仏6勝)は、G3・ミネルヴ賞を制している。フリゼットSなど米G1を4勝した曽祖母ステラマドリッドに連なるファミリー。セレクトセール(1歳)にて7600万円で落札された。
 短期放牧を経ると、驚きの進化。11月の京都(芝1600m)で初勝利を収める。しかも、余力たっぷりに後続を5馬身も置き去りに。従来のレコードを1秒1も更新した。朝日杯FSを除外されて回ったひいらぎ賞も、3馬身半差の楽勝だった。翌日の朝日杯をコンマ5秒も凌ぐ優秀なタイムを叩き出す。
「びしっと追ってG1仕様の態勢だったからね。自分でレースをつくり、展開の助けがなくても平均していい脚を使える。調子を維持し、シンザン記念も順当に逃げ切れた。あの時点でも、マイル戦線のトップに立てると自信を深めていたよ。とはいっても、減った体が戻り切らず、腹周りが淋しく映った。いきなりでも全力を尽くす前向きなタイプだけに、間隔を開けながら、大切に使ってきたんだ」
 アーリントンCも、危なげないパフォーマンスで連勝。予定通りにNHKマイルCへ直行した。堂々と3歳のマイル王に輝く。
「心臓に良くないクビ差だった。でも、G1となれば、休み明けの臨戦過程ではなかなか乗り越えられないもの。当時も若さが前面に出ていて、もたれる面も見せていたが、最後の100mは根性で凌いでくれた。続く安田記念(16着)は過酷な不良馬場と超ハイペースが堪えた結果。本格化は先だと思っていた」
 秋緒戦のスワンSを制し、改めて能力をアピール。だが、先行一手の弱みが顔をのぞかせ、マイルCS(13着)、阪神C(7着)と期待を裏切った。
「中途半端なレースが2回続き、もうハナにこだわるレースはやめようと決心。ノーザンファームしがらきでの乗り込み時から、他馬の後ろに付け、我慢を教え込んできた。その成果が表れたのが阪急杯(ハナ差の2着)。ただし、脚質転換は容易ではなかったね。なかなか前に壁をつくれず、ハミを噛んでしまって」
 高松宮記念は3着に健闘したものの、安田記念で15着に沈む。スプリンターズS(4着)、香港スプリント(7着)と消化不良のレースが続いた。そんななかでも、着々と体力が強化され、充実の5歳シーズンを迎える。
 久々に同馬らしい逃走が決まり、阪急杯に優勝した。ぐんと安定味を増し、高松宮記念、スプリンターズSと連続の2着。そして、マイルCSでは、ついに2つ目のビッグタイトルに手が届いた。
 狙い通りに先手を奪い、マイペースを貫く。刻んだラップは速かったが、待機勢も息が入らない展開に。ラストで際どく迫られても、驚異の粘りを発揮した。クビ差だけ凌ぎ切って、栄光のゴールを駆け抜けた。
 外へ斜行したことが審議の対象となり、騎乗した浜中俊騎手は険しい表情を崩さなかったが、こう愛馬の才能を称える。
「迷惑をかけてしまい、申し訳ない気持ちで一杯ですが、馬が懸命にがんばった結果です。まずは気分良くスタートすることに専念。いいリズムに乗れましたし、直線も手応えは十分ありました。3歳春にG1を勝たせてもらったのに、そのあとは試行錯誤が続き、ずいぶん遠回りさせてしまったと思います。改めて実力を示せ、安堵しましたよ」
 柔軟な立ち回りが苦手だった反面、常に渾身の剛速球で勝負したミッキーアイル。阪神C(6着)で現役にピリオドを打ち、スタリオン入りした。日本競馬を牽引するディープインパクトの後継でありながら、抜群のスピードがセールスポイント。コンスタントにアベレージを残すに違いない。産駒たちがデビューすれば、たびたび勇姿が蘇ってくることだろう。
 


第33回 マイルチャンピオンシップGⅠ
1着ミッキーアイル 牡5 57 浜中俊   音無秀孝
2着イスラボニータ 牡5 57 Cルメール 栗田博憲
3着ネオリアリズム 牡5 57 Rムーア  堀宣行

 単勝  590円
 枠連  830円
 馬連 1,590円
 馬単 3,390円

3連複   8,360円
3連単  40,290円




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