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『プロらしい取り組みに磨かれたフロンティアホース』


【2008年 京都大賞典】

本年はリーディングのトップを快走する藤原英昭厩舎。勝率の高さは目を見張るものがあり、日本を代表する地位をしっかり固めている。G1の9勝を含め、コンスタントに47のJRA重賞を勝ち取ってきたが、チーム力を高める礎となった一頭にトーホウアランがいる。
 父はサンデーサイレンスの代表的な後継であり、大レース向きの底力に富むダンスインザダーク。母ヒドゥンダンス(その父ヌレイエフ、米6勝)はG1のサンタアニタオークス、同・ハリウッドオークスなど重賞を3勝した名牝である。
 2歳の10月に栗東へ移動した当初は心身の繊細さが際立っていたが、この血らしい柔らかい乗り心地。慎重にステップを踏み、丁寧に仕上げられた。
 1月の京都(芝2000m)でデビューすると、2番手からあっさり抜け出し、初勝利を収めた。セントポーリア賞も楽勝。続くスプリングSでは長距離輸送による馬体減りが響いて10着に沈んだが、きちんと立て直された京都新聞杯を正攻法で勝ちにいき、みごとにライバルを競り落とした。だが、大目標のダービーではイレ込みがきつく9着に終わる。レース後に右前脚の骨折が判明した。
「4コーナーで致命的な不利。手応えが抜群だっただけに、悔やまれる結果だったよ。ただし、それも含めて競馬だし、改めて難しいレースだと痛感させられたね。がむしゃらに取り組んでいたなか、こちらの技術を磨いていくうえで貴重な財産となったし、エイシンフラッシュ(2010年に優勝)へもつながった」
 と、藤原トレーナーは振り返る。
 秋は菊花賞へ直行し、8着が精一杯だったものの、中日新聞杯で2つ目のタイトルを奪取。非凡な才能を再認識させた。ところが、ダメージは大きく、1年2か月ものブランクを経る。
 復帰後も5連敗を喫したが、陣営は簡単にはあきらめなかった。同馬向きの対処を試行錯誤していく。朝日チャレンジCでは渋太く2着に粘り切り、心身が噛み合いつつある手応えを得ていた。
 京都大賞典では菊花賞2着のアルナスラインや天皇賞・春に勝ったアドマイヤジュピタやらに注目が集まり、単勝9・1倍の4番人気。それでも手綱を託された鮫島良太騎手は、追い切りの感触から好勝負になると見込んでいた。スローペースに行きたがるのをなだめ、中団のインで脚をためる。直線でもなかなか前が開かなかったが、狭いところをタイミング良く抜け出した。最後まで手に汗握る接戦が繰り広げられたが、半馬身の差を保ってゴール。絶妙な手綱さばきが光った。
 殊勲のジョッキーは、こう勝因を分析する。
「レース前日にも前に馬を置き、我慢させるメニューを消化。それが功を奏しました。想定より位置取りは後ろになりましたが、ロスのない競馬ができ、勝負どころでも手応えは絶好。無事に勝てたのは、馬と厩舎のおかげです」
 さらなる前進が期待された同馬だったが、ジャパンC(10着)で蹄を傷め、9か月間の沈黙。朝日チャレンジCで3着に浮上しながら、脚元に配慮しながらの調整を強いられ、また1年5か月もレースから遠ざかった。8歳で臨んだ小倉記念(16着)がラストランとなった。
 雌伏の時期が長かったとはいえ、敏腕ステーブルに勇気や希望を運び続けたトーホウアラン。豪華な業績を誇るなかでも、その鮮やかな復活劇は独自の輝きを放っている。
 


第43回 京都大賞典GⅡ
1着トーホウアラン   牡5 57 鮫島良太 藤原英昭
2着アドマイヤモナーク 牡7 58 安藤勝己 松田博資
3着アイポッパー    牡8 57 上村洋行 清水出美

 単勝   910円
 枠連  2,390円
 馬連  5,830円
 馬単 11,450円

3連複  16,340円
3連単  114,270円




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